英国ロイヤルファミリーの紳士達が公式な場に立つ時、ジャケットのラペルに花を飾ってる事がよく見受けられます。ジャケットの襟にあるボタン穴、これは「フラワーホール」と呼ばれていて、エドワード皇太子が花を挿したことからそう呼ばれるようになったとされています。
つまり初めは花を挿すためのものでしたが、現在では社章やピンバッジなど、小さなアクセサリーをつける為の穴として存在しています。そして最近では、このフラワーホールをさりげなく彩る「ラペルピン」や「ブートニエール」と呼ばれるお洒落なアクセサリーがブームとなっています。
ラペルピンやブートニエールは、様々なデザイン、モチーフ、素材で作られています。代表的なところで言えば、イタリアの老舗スーツ・ファクトリー「ラルディーニ」のフラワーモチーフのブートニエールがあります。統一されたデザインモチーフでありながらも、白蝶貝にウッド、フェルトなど、素材違いでつくられているところが興味深いですね。
フラワーホールは、自分なりのセンスで自由にお洒落を楽しむ場所でもあると言えます。女性で言えば「ブローチ」のような存在で、保守的だったメンズスーツにおける新たなアクセサリーの登場と言えるのではないでしょうか。
また最近では、ニットやフェルトなど、ハンドメイドな優しいテイストの作品も多く、男臭いスーツにフェミニンなテイストを取り入れるのが流行りでもあります。
色々なモチーフで個性を主張する、それがエドワード皇太子からの「美意識の名残り」、今日の「フラワーホール」のあり方だと言えるのではないでしょうか。