「WONDERテキスタイル!」ではオーダースーツの際におススメしたい各国有数のテキスタイルブランドをご紹介しています。
本⽇は、オーダースーツの豆知識として「⽣地メーカー」についてのお話です。
まず、⽣地メーカーは⼤きく2つに分けることができます。 ひとつは、織物⼯場の「ミル」で⾃社の⽣地ブランドを持っています。もうひ とつは織物商社の「マーチャント」。織物⼯場と契約を結びリテーラー(ショ ップやテーラー)へ⽣地を流通していく役割を担っています。それぞれに代表 的なメーカーがあり、特に優秀なメーカーは、イギリスのウエストヨークシャ ーやイタリアのビエラ地⽅に集中しています。
家族経営が中⼼の古くからの⽣地⼯場「ミル」
古くからイギリスの服地製造業者はMILL(ミル)と呼ばれる「⼯場」を意味す る⼤きな建物で⽣地を⽣産していたことから、こう呼ばれています。英国では ハダースフィールドやブラッドフォードに数多く集まっています。ʼ80 年代にイ タリア⽣地の評価が⾼まってからは、イタリアの服地製造業者のこともミルと 呼ばれるようになりました。
ミルを代表する⽣地メーカーには、イタリアの「エルメネジルドゼニア」が有名です。それ以外にも「ロロ・ピアーナ」や「ハ リス・ツィード」「カノニコ」、そして日本では国内随⼀のミル「御幸⽑織」な どがあります。
英国のミルは伝統的な製法を⽤いて丁寧な⽣地作りにこだわる ことが信条です。最近では、⼤⼿資本が介⼊したりすることでかなりの数が淘 汰されましたが、逆に現在でも残っているミルは、なんらかの存在理由があり、 それぞれの強い特⾊を持つところが多くあります。
⽣地をプロデュースしてトレンドを作る「マーチャント」
マーチャントとは服地卸商を意味し、原料となる⽺⽑などを買い付け、契約し ている複数のミルに織らせます。でき上がった⽣地を集め倉庫に保管し、リテ ール(⼩売)にその⽣地⾒本となるバンチを置き、お客さんがそれを⾒て⽣地 を選び、リテールに流通していくというシステムです。⽣地のプロデュースに ⻑けているのがマーチャントです。
マーチャントを代表する⽣地メーカーには英国老舗「ドーメル」。その他には「スキャバル」や「アリストン」 「ホーランド&シェリー」があります。服地卸商であるマーチャントは、⽣地 ⽣産元のミルがどんな⽣地が作れるか、さらにはどんな生地を作りたがっているのかを把握し、 それとともにファッショントレンドに敏感に対応しながら⽣地の供給を仕掛けています。まさに⽣地作りのプロデューサー 的存在であります。
この様に生地メーカーによって「ミル」と「マーチャント」とに分類されるんですね。この様な事を意識されながらバンチブックを眺めると、又、生地選びも一層楽しいものになるのではないでしょうか。
皆さまのご来店を心よりお待ちしています。